2014年2月17日月曜日

雪が降ったら自家用車を「にわか除雪車」に変身!

(Creative Commons: by Sue Clark)


毎年、除雪用のプラウを付けた四輪駆動車が街中で走り始めると、冬が来たなと感じる。
 
日本でもあちこちで使用されている筈だが、スノープラウというのは、雪を押す弯曲した板のような器具のことで、四輪駆動車や軽トラックの前方に付けたり外したり出来る。アメリカは、大工や庭師は勿論のこと、特別な職業でなくても四輪駆動車を乗り回している者が多く、冬場になると自分の車にプラウを取り付けて「にわか除雪者」に変身して副収入を得る人がかなりいる。雇い主は、自治体や、ご近所の家庭。シャベルで掘ると3時間くらいかかるような雪を、一挙に3分足らずで押しのけてしまえるのが魅力だ。ドライブウェーの除雪が欠かせないアメリカでは、料金を払ってでもスノープラウに来てもらう価値はある。


自治体は、必要な重機は揃えてあるが、大嵐の時に自前で全てやれるほど沢山の除雪器具や人手が揃っているわけではない。ということで、こういう一般市民の除雪者に降雪の際に出動してもらう契約をしている。


雪の警報がでると、自治体はまず重機を使って凍結防止剤を道路に散布する。雪が本格的に降り始めた時点で、自治体職員と契約している「にわか除雪員」が出動。それぞれ受け持ち区を持っており、ぐるぐる巡回して除雪する。四輪駆動車プラウは20センチ以上の雪でもお茶の子だが、やはりあまり積もらないうちに押した方が楽なので、大嵐の時は除雪車は一晩中巡回している。自給制なので、長時間作業が必要な大嵐が何度もあると、年度末の決算の時に「除雪予算」から足が出る。また、自治体職員には週末の作業には残業手当が出されるので、嵐が週末と重なり続けると自治体は大赤字だ。


四輪駆動車プラウは、アメリカでは路地に使われることが多いが、大通りをこれで除雪するのも大いに可能だ。ボストン地域では、大通りには専用除雪車を使い、合間を縫って重機で滑り止めの土を蒔く。大雪で雪の置き所がない場合には、道路のわきに積み上げておいた雪を小型のトラクターで大型トラックの後部に移し替え、公立の運動場などに持って行く。どうしても捨てる場所が見つからない場合は、火を焚いて溶かして下水に流すという方法もあるらしいが、今のところそれが必要になった例は聞いていない。 (環境保護のため、凍結防止剤や道路のゴミが混ざっている雪を、河原に置いたり川に捨てるのは法律で禁止されている。)


四輪駆動車プラウの利点は、平凡な自家用車を季節的に除雪車に豹変させられること。プラウを付けたままで普通に運転も出来てしまう。プラウ付きの車でスーパーに買い物に来る人も珍しくない。プラウ自体がそれほど大きくないので、保管にもそれほど場所をとらない。(と言っても、東京の住宅街などだと、プラウを置いておけるような家は少ないかもしれないが、自治体の車庫などに置いておくにはもってこいのサイズであろう。)
 
日本でのどのくらい利用されているか調べようとしていたら、軽トラックのプラウで除雪している動画が出てきた。


最近は異常気象が続き、緯度の違う東京地とボストンの天候パターンがそっくりだったりして驚かされる。ここ一週間は、アメリカ南部でも雪。滅多に降らない場所なので、数センチの雪でも交通が麻痺して立ち往生していた模様だ。 私の友人によると、アトランタに住む知人は大風吹の最中に渋滞で身動きできなくなり、車をそこに捨て去って歩いて家まで帰ったそうだ。
 
東京は大雪が稀だから、自治体でそろえてある重機の数に限りがあると友人から聞いた。また、雪を置く場所がないというのも合点が行く。四輪駆動車プラウは使い方を知らないと操作出来ないが、自治体である程度の数のプラウを保管しておき、軽トラックや四輪駆動車を持つ企業などと提携して冬場の始めに操作の講習をし、いざという時に出動してもらうということは出来ないかというのは、海を隔てている者の現実離れした想像だろうか。
 
何事も器用にこなす日本。次回の大雪に備え、日本北部の除雪方法からも使える部分をとって、現地の自治体に合う独自の対策を思いついてくれればと、海の彼方からひそかに期待を寄せている。


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